都窯業株式会社

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工房:三重県伊賀市西山 伊州窯

聖ペトリ教会(スウェーデン)

世界の名建築とレンガ1
[スウェーデン・クリッパン編]

聖ペトリ教会

(1962 - 1966年)

設計:シーグルド・レヴェレンツ



スウェーデンの田舎町クリッパンに、シーグルド・レヴェレンツ晩年の代表作である「聖ペトリ教会」(一九六二-一九六六)がある。 駅から東北へ十分余りあるくと樹々のあいだに波のかたちをした屋根とマンガン色の粗い煉瓦の壁が見えてくる。意外に低くモスクに近いといわれる所ゆえん以だ。手前の浅い池( 水盤) も全て煉瓦という拘こだわりようである。

教会の周りに立っている外灯は上の方で十五度ほどかたむき訪問する人にお辞儀をしているようで可愛い。
聖堂の平面は正方形で、通路をへだてて南側と東側に教区ホールと事務所棟がL字に囲む構成になっている。
中に入ると、床も壁も天井も煉瓦だけの空間に圧倒される。
右壁に穿うがたれた四角なガラス窓から柔らかな光がさしている。
床の煉瓦は正面の祭壇に向ってゆるく下っているが煉瓦の向きが変わって交わるところがひろい目地になっているのに、煉瓦と調和して見えるのが不思議である。

入口近くには鉄でつくられた燭台があって、巨きな貝の洗礼盤が置かれている。
その下に口を開けている音響洞が少し不気味で、奈落の底に続いているようだ。
司教席横のパイプオルガン対角の煉瓦壁には吸音の縦孔がまるで音符のように踊っている。レヴェレンツは、煉瓦の壁を楽符に見たてて宗教音楽を埋めこんだのではないかと思う。誰かこの縦孔の音符を五線紙に写して、何の曲か解きあかしてくれないだろうか。
天井の半円筒形ヴォールトは、鉄の直線と煉瓦の曲線が連続していて鳥が羽ばたくような躍動感を覚える。

結婚式用礼拝堂の不思議さは中央の煉瓦の祭壇であろう。片方支えなしで浮いているのだ。あり得ないことが目の前にあって夢ゆめまぼろし幻のごとく。
レヴェレンツの煉瓦のつかい方は昔も今も画期的でミステリアスである。その想いは「聖ペトリ教会」に凝縮されている。と、思う。